大判例

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東京地方裁判所 平成9年(特わ)2838号

右の者らに対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官村上満男、弁護人丸山利明各出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人株式会社装美建工を罰金七〇〇〇万円に、被告人内堀輝を懲役二年に処する。

被告人内堀輝に対し、この裁判確定の日から四年間その刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人株式会社装美建工(以下「被告会社」という)は、東京都新宿区四谷一丁目七番地 装美ビルに本店を置き、建築一式工事の請負等を目的とする資本金二〇〇〇万円の株式会社であり、被告人内堀輝(以下「被告人」という)は、被告会社の代表取締役として同会社の業務全般を統括していたものであるが、被告人は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上の一部を除外するなどの方法により所得を秘匿した上

第一  平成五年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が三億五九四三万一八一五円(別紙1の修正損益計算書参照)であったにもかかわらず、平成六年二月二八日、東京都新宿区三栄町二四番地所在の所轄四谷税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一八七二万三〇一七円で、これに対する法人税額が四五六万一一〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(平成九年押第二〇〇二号の1)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額一億三二三二万六六〇〇円と右申告税額との差額一億二七七六万五五〇〇円(別紙4のほ脱税額計算書参照)を免れ

第二  平成六年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が二億七三六六万四七〇六円(別紙2の修正損益計算書参照)であったにもかかわらず、平成七年二月二八日、前記四谷税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一九五三万五八八五円で、これに対する法人税額が五六六万三三〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(同押号の2)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額一億〇〇九六万一七〇〇円と右申告税額との差額九五二九万八四〇〇円(別紙4のほ脱税額計算書参照)を免れ

第三  平成七年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が二億四二七八万二八七六円(別紙3の修正損益計算書参照)であったにもかかわらず、平成八年二月二九日、前記四谷税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一七五二万一五七六円で、これに対する法人税額が四六八万二六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(同押号の3)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額八九一五万五四〇〇円と右申告税額との差額八四四七万二八〇〇円(別紙4のほ脱税額計算書参照)を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全部の事実について

一  被告人及び被告会社代表者の当公判廷における各供述

一  被告人の検察官に対する供述調書三通

一  下里廣幸の検察官に対する供述調書八通

一  大蔵事務官作成の工事売上高調査書、支払手数料調査書、受取利息調査書、支払利息調査書、損金の額に算入した道府県民税利子割調査書、事業税認定損調査書及び領置てん末書

一  検察事務官作成の事業税認定損及び税務署所在地に関する各捜査報告書

一  登記官作成の履歴事項全部証明書

判示第一の事実について

一  押収してある法人税確定申告書一袋(平成九年押第二〇〇二号の1)

判示第二の事実について

一  押収してある法人税確定申告書一袋(同押号の2)

判示第三の事実について

一  押収してある法人税確定申告書一袋(同押号の3)

(法令の適用)

被告人の判示各所為は、いずれも法人税法一五九条一項に該当するところ、所定刑中いずれも懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、刑法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第一の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人を懲役二年に処し、情状により刑法二五条一項を適用して、この裁判確定の日から四年間右刑の執行を猶予することとし、さらに、被告人の判示各所為は被告会社の業務に関してなされたものであるから、被告会社については、法人税法一六四条一項により同法一五九条一項の罰金刑に処せらるべきところ、情状により同条二項を適用し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、刑法四八条二項により各罪所定の罰金の多額を合計した金額の範囲内で被告会社を罰金七〇〇〇万円に処することとする。

なお、右の刑法四五条等の適用は、平成七年法律第九一号附則二条二項、三項によるものである。

(被告人についての量刑の理由)

本件のほ脱法人税額は三期合計で三億〇七五三万円余で、ほ脱率は通算約九五・四パーセントである。このような脱税額、ほ脱率のほか、犯行の態様(被告人が被告会社の経理担当者に指示して、架空借入金を計上して売上の一部を除外したり、架空支払利息を計上するなどしたもの)、犯行の動機、一般予防の必要性等にかんがみると、被告人の刑事責任はかなり重いというべきであるが、被告人の真摯な反省状況、被告会社の納税状況(附帯税を含め国税は完納済み)、被告人や被告会社が受けた社会的制裁(特に被告会社は本件の影響により経営難に陥っていること)、被告人とその妻の健康状態等をも考慮すると、被告人に対しては主文のとおりの執行猶予付き懲役刑が相当と思料される。

よって、主文のとおり判決する。

(求刑 被告会社・罰金一億円、被告人・懲役二年)

(裁判官 安廣文夫)

別紙1

修正損益計算書

自 平成5年1月1日

至 平成5年12月31日

株式会社装美建工

<省略>

別紙2

修正損益計算書

自 平成6年1月1日

至 平成6年12月31日

株式会社 装美建工

<省略>

別紙3

修正損益計算書

自 平成7年1月1日

至 平成7年12月31日

株式会社 装美建工

<省略>

別紙4

ほ脱税額計算書

自 平成5年1月1日

至 平成5年12月31日

株式会社装美建工

<省略>

ほ脱税額計算書

自 平成6年1月1日

至 平成6年12月31日

株式会社装美建工

<省略>

ほ脱税額計算書

自 平成7年1月1日

至 平成7年12月31日

株式会社装美建工

<省略>

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